融資失敗事例17:領収証が怪しい

特に創業融資に多いのですが、銀行側から自己資金の提示を求められることがあります。
例えば創業融資であれば総投資額の10分の1とかですね。

で、融資希望者の中には、融資を申請する時点ですでに支払い済みの領収証を
自己資金の証明書として提示する方もいらっしゃいます。
それはそうですね。なんせ融資の申請から実際に実行されるまで、
日本政策金融公庫でしたら一ヶ月、制度融資でしたら3ヶ月ほどは見ないといけません。
当然それまでに開業資金の一部を支払ったりすることはあるかと思います。

ただ、以前あったのがその領収証があまりにも怪しいケースです。
まず印紙が貼られていない。受取書には税抜5万円を超えると
印紙税がかかってきます。
その怪しいケースでは200万円の領収証でした。
この場合、最低額の200円どころか400円の印紙を貼らなければなりません。
あともう一つ、その領収証には受取者の印鑑(社印)がありませんでした。

当然、口座振込みをしたことも考えられます。
一応その方の3ヶ月分の通帳を見せていただいたのですが、
残念ながらそれらしい振込の履歴も、振り込んだATMの控えもありませんでした。
200万円もの金額が振り込まれたのですから、直前に引き出しているのかな
という推測も、履歴からは確認できません。
その方いわく、銀行にお金を預ける習慣自体がない、とのこと。

ここまで書けば、鋭い方ならピンと来るかと思いますが、
そう、自己資金を見せかけるため、領収証の捏造疑惑が出てくるんですね。
直接対面している我々税理士事務所の人間がそのような疑念があるわけですから、
書類上だけで判断する銀行担当者や決裁権を持っている方からしてみたら、
これ以上怪しい自己資金の証明書類はありません。

結果、その方に融資は下りませんでした。
当たり前といえば当たり前の結果に違和感はありませんでしたが、
銀行融資というのは甘いモノではありません。
正々堂々と自己資金を見せられるようになってから起業を検討してください。

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