これまでいろいろな制度や面談時の注意点をお伝えしてきましたが、
とりあえずこのあたりで融資審査のポイントをまとめていきたいと思います。
大きくまとめると以下の4つになります。
- 融資審査のポイント1:ヒト、モノ
- 融資審査のポイント2:カネ(売上高、利益)
- 融資審査のポイント3:カネ(自己資本、借入金)
- 融資審査のポイント4:カネ(貸付金・仮払金、その他)
融資審査のポイント1:ヒト、モノ
ヒト |
モノ |
【着眼点】 ○信頼性 正直かどうか、信義則は事業を行う上でも重要な要素。(例:ちゃんと返済日に返しているか。) ○謙虚さ 他人の意見を聞く姿勢はあるか ○決断力・責任感 迅速な決断を行っているか、失敗の言い訳を他に転嫁していないか ○計数観念 決算の内容・総括と今後の見通しを自分の言葉で説明できるか。(他に実権者がいるかどうか)
⇒ 小規模企業の存続の大部分は、経営者で決まる。経営者は小規模企業のエンジン
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【着眼点】 ○製品(商品力) 市場に受け入れてもらえる(売れる)独自性の高い製品(商品)があるか ○技術力 他社と比べてどの点に優位性があるのか、それが受注につながっているのか ○サービス 他社とどこが違うのか、従業員の能力はどうか ○販路 どうやって販路を開拓したのか、またはこれからするのか、それが今後も継続できるか
⇒ 小規模企業は決算書に現れていない強みが存在基盤
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融資審査のポイント2:カネ (売上高、利益)
カネ(売上高) |
カネ(利益) |
【着眼点】 ○企業の「サイズ(規模)」を大まかに把握 → 他の勘定科目の数字を見るときの基準 ○「売上」の仕組み・お金の流れから事業内容を把握
【知りたいポイント】 ○誰に、何を売るか? 売上を計上するタイミングと、その回収方法 ○主な取引先と、取引先別、月別の内訳 ○複数事業を営んでいるときは事業別の内訳 ○複数店舗を営んでいるときは店舗別の内訳 ○資産表未作成でも、せめて決算期以降の売上を把握したい
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【着眼点】 ○小規模企業は「儲かる体質」への転換が遅れている ○企業にとっては維持・発展の原動力であり、金融機関にとっては主たる返済財源でもある ○利益だけで無く資金繰りにも注目 → 「利益+減価償却費」で計算されるキャッシュフローが返済財源として重要
【知りたいポイント】 ○赤字の場合は、その理由と今後の方針 → 経営者としての考えを聞きたい
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融資審査のポイント3:カネ(自己資本、借入金)
カネ(自己資本) |
カネ(借入金) |
【着眼点】 ○自己資本の充実度でも企業間格差あり ○小規模企業の場合は、経営者の個人資産・負債と合計して検討することが一般的 ○債務超過でも、資金を調達(借入)できれば企業は存続可能 → 借入金に注目する理由 ○実質自己資本(決算書上の自己資本に非資産性、非負債性要素を加除したもの。)が大幅な債務超過の場合は、要注意
【知りたいポイント】 ○経営者の個人資産・負債 ○債務超過の場合は、なぜ存続できたのか
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【着眼点】 ○継続的に借り入れできるあいだは企業は存続可能 → 今後も継続的に借入か農家に着目 → 怖いのが知人(ヤミ金かも) ○借入の総額が過大では無いか → 返済しなければならない借入金を把握 → 借入金が過大かどうかを判断する尺度 (1)借入金回転期間 (2)債務償還年数
【知りたいポイント】 ○借入金残高の内訳・明細(借入先、借入時期、借入金額、返済条件など) → メインバンクはどこか → 「返済金>返済財源」ならば、継続的に融資を受けないと資金繰りが破綻 ○売上同様、資産表未作成でも決算後の借入状況を把握したい
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融資審査のポイント4:カネ(貸付金・仮払金、その他)
カネ(貸付金・仮払金) |
カネ(その他) |
【着眼点】 ○費用計上の無い資金の支出であり、キャッシュフローや自己資本が悪化していないか ○貸借対照表上に雑勘定(とくに代表者向けの貸付金・仮払金)がある場合は要チェック
【知りたいポイント】 ○支出の相手方・時期・理由・将来的な解消見通し
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【着眼点】 ○1期前あるいは2期前との比較および決算後の動きに注目(全勘定科目) ○良い方向に向かっているのか、悪い方向に向かっているのか ○P/Lの変化とB/Sの変化に整合性があるか → 例:売上が減り続けているのに、売掛金や在庫が増加 ○融資の理由確認 ○経常収支比率が3期連続で100%を切り、直前期が80%を切る状況では、資金繰りがひっ迫している考えられるので要注意。 ○売掛金、棚卸資産、買掛金の回転率が、著しく増減している場合は要注意 ○一応、納税資金も融資の対象
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